Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme

Aozora Bunko

七

を、重蔵の前でも真率に繰り返して、彼の蹶起を熱願したのであった。

しかし、重蔵は容易に諾の一語を与えなかった。彼の侠勇を象徴した濃い眉の下には、それを反省する聡明の眼がいつまでも閉じられていた。

「貴殿の一諾を得られぬからは君公への申し訳に老い腹切ってお詫び致す。重蔵殿この一間を拝借致す」

と一徹な作左衛門は、不承知の色を見て、早くも脇差の柄へ手をかけた。

「お待ち召され!」

重蔵は驚いてその手を押えた。

「さらば作左衛門が一命を賭してのお願い、お聞き入れ下さるか」

とのッ引きさせず問い詰めた。

「かくまでとあれば止むを得ぬこと。――宜しゅうござる」

と重蔵は沈痛な声で初めて大きくうなずいた。

「えッご承知下さるとか!」

「勝負は時の運ながら、春日重蔵が及ぶ限りの対手には立ちむかい申すでござろう」

「忝けない、忝けのうござる……」

と飛び退って両手をつかえた老骨は、それより他の言葉が出ぬほどな感激に昂らされてぼろぼろと涙を滾した。

七

撓刀の音を聞くだけでも、身ぶるいが出るというほど、生れつきから武芸嫌いな重蔵の弟春日新九郎は、十九という男前になりながら、いまだ半元服の若衆振袖で、屋敷の奥の一間にこもって、好きな絵筆をもてあそんでいる。