Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
「ほんとに、貴女様のお手並で、気強い道中ができまする」
「なんの、対手がいつも駕かきずれの者ゆえよいようなものの、大勢の山賊にでも出会うたら、とてもこうは参りますまい」
「私のために、思えば飛んだご苦労をかけまする」
「いえいえ、これが妾の罪ほろぼし、重蔵様のご最期の言葉に、初めて迷いの夢をさましたこの身が、ふッつり新九郎様を思い切ったという証しを立てる、いわば自分の為に過ぎませぬ」
と、御方の言葉は、生れかわっているように違っていた。
弟思いの重蔵の一死に、新九郎が溺れかけた淵から奮然と醒めたように、御方も、あの時物かげで始終の様子を聞いて、心から浅ましい迷いを醒ましたのであった。
自分独りの愛慾のために、新九郎を日蔭者にさせ、許婚の千浪に、あの困苦をさせた、罪の怖ろしさに気づいた。
御方は、その後千浪に文を便りして、我が罪業を詫びた。千浪もそれに女らしい返辞を書いた。そして、二人はいつか親しい間になって、二度の大願に江戸を去った新九郎の本懐を心待ちにし合っていた。
もう三年……そして、新九郎の消息は更にない。
千浪の淋しい姿に痩せが見えた。御方は自分からすすめて、二人で旅に立つことにした。