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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme

Aozora Bunko

自斎の鉄扇は時を経るほど、縦横無尽の快速を加えた。大海原の狂瀾がいかに寄せても返しても、揺ぎもせぬ岩根のようだ――。そのうち緩ろいと思ったか、鉄扇を捨てて無手を翳した自斎は、飛燕の如く身を屈めると、もう渦を巻いてる多勢の思わぬ所へ姿を現わし、寄る奴当る奴の襟首とって、人を人へ投げつけはじめた。

「駄目だッ駄目だッ」

とそれに怯んだ者の弱音に、浮足立った烏合の群はしばらくジリジリに押し戻していたが、どッと崩れ立つと一人も残らず雲霞と逃げ散ってしまった。

追う気もなく、騎虎の勢いで自斎が四、五丁駈け散らして来たが、益もないことと思い返して、そこから見えた川床へ、渇いた喉を潤しに降りて行った。

すると、その後から篠に掴まって一人の男が、音を忍ばせてずるずると尾けて行く――見れば由良の伝吉だ。

自斎もそれには気づかなかった。河床の岩に両手をついて、底の水草が透とおって見えるほどな清冽な流れを見た。そして片手を濡らして汗ばんだ鬢の毛を撫でつけ、流れへ臨んで少し身を逆にしながら口そそごうとした途端。

「こん畜生ッ」

と腕に覚えの由良の伝吉が、無念をこめて真背後から、鍔もと深くふり下ろした二尺八寸の大脇差。