Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
魔ものの爪が伸びようとすれば、咄嗟に死を示す。それにはさすがの毒牙も持て余した。色より慾に引ッくり返った新造は、乾分の仁三を女衒の久六の所へ走らせ、手筈をきめて、京の色街へ、千浪を売り飛ばそうと企んだ。それが彼の腹癒せであった。そして、ここまで無理無態に運んできたものである。
月光を辿って来たこの街道は、こうして、新造自身にとれば地獄の道を指して急いだことになり、千浪と新九郎にとっては、意外な浄土が再び二人を迎えたような帰結になった。浮世の輪廻はどこまで変転極まりなく、どこまで霊妙不可思議世界、すべてはこれ、人の世にして人の測り知るところではない。
この七日ばかりの間は、千浪と新九郎にとってどんなに、恵まれた日であったろう。
亀岡の城下の、とある旅亭に落ち着いた三人は、互に種々の物語をしつくしたが、新九郎はその翌日から、膝にうけた太刀傷と、五体の疲労で、大熱を起してしまった。
千浪は自分の身を忘れていた。真心の看護は、むしろ溢れるばかりな、幸福感に包まれるものであった。その甲斐があって、新九郎は日ならずして、床を払った。
再び別れねばならぬ日が来た。