Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
「ご来客でござります」
と一人の門弟が取次いで来た。
「どなたじゃ?」
「ご家中の正木作左衛門様がお越しでござります」
「お……」
と重蔵はすぐ如意輪寺裏の一夜を想い起して、自身出迎えに玄関へ立って行った。――と今までいかにも神妙らしく畏まっていた矢倉伝内は、ジロリと凄い上目づかいをしながら、玄関の応答に地獄耳を欹てていた。
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渡り廊下を通って、離間へ案内された正木作左衛門の後ろから、しとやかに綾の裾を曳いてついて行ったのは娘の千浪であった。
茶室めいた切窓は、藤棚に日を遮られて座敷の中は朝のような青い静かな光線が僅かに流れていた。作左衛門は密談を遂げるには打ってつけな部屋だとすぐ思った。そして過日の礼を懇切に述べ終ってからこう口を切りだした。
「実は、傷所も充分癒りきらぬ某が、今日にわかにお伺い致したのは、重ね重ねではござるが折入って尊公に一大事のお頼みに参ったのでござる。何と抂げてお聞入れては下さるまいか」
「さて、何事でござりましょうか……」
「尊公をあっぱれ武士と見込んでのお願いは余の儀でもござらぬが……」
と云いかけて作左衛門はふいと口を噤み、