Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
「あれなる浪人が、吾等の邪魔になる岩根へ腰掛けて動かぬばかりか、この態は何事じゃと、嘲笑うた無礼な一言、聞き捨てなりませぬゆえ引ッ捕えたところでござります」
と喋々と述べた。
「うーむ憎い奴――」
と玄蕃もきっと眼を放つと、成程、年の頃は老人とは見えぬが、面を隠した深編笠から、漆黒の関羽髯をそよがせた黒紋服の一人の浪人、罵りかかる若侍どもを尻目にかけて悠然と道ばたの岩に腰かけている。
「とやこうは面倒ッ、曠の試合場に向う血祭りにしてしまえッ」
と玄蕃は鞍壺を叩いて怒喝した。
「それッ打ッた斬れ!」
と弓弦を離れた門弟どもや、腕の疼きぬいている剣客の誰彼は、我こそと大刀をぬくが早いか、前後から喚きかかって浪人を取り巻いた。
「白痴脅しを抜いて来たの、嗤われたくらいでは気が済まずに、この上痛い目を見せてもらいたいとか? あははははは」
と浪人は左手に関羽髯を掴み、右手の鉄扇は一文字にピタリとつけたまま、編笠をゆすって笑った。
「この狂人めッ、動くまい!」
と烈火の如くになった一人が矢庭にブンと斬りこんで来た大刀を浪人はピシリと払って腰も立てなかった。
「おのれッ」