Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
が、横紙破りの髯の重左は、どうして、そんな生温いことで滅多に手を退く男でなかった。
「黙らッせい。どこの女中共かは知らぬが、蔭間や御守殿ののさばり出る幕ではない。退けというのはお身共のこと、さッさと道を避けて通らッせい」
「それ程気の小さい女子なら、何で、梅茶亭からわざわざここまで追い着いて来るものではない」
「何、梅茶亭からこの重左を追って来たと?」
「そうじゃ、妾の邸に召使う若侍へ、無理難題を云いかけて連れ去ったゆえ、それを取り戻そうため追い着いて参ったのじゃ。公沙汰に致せば山手組を根こそぎから総崩れとなそうやも知れぬ。がそれまでに事好みな騒ぎをするのも妾の本意でない。素直にここでその者を返して賜も」
「返せとは誰を?」
「春日新九郎を――」
「あ、あなたは?」
とその時御方の面をさしのぞいて叫んだ新九郎は思わずいつかのことを口走るところであったが、御方のあわただしいせにグッと後の語句をのんで、険しい二人の雲行きを側からじっとみつめていると、重左は老骨の頑固さを、くわッと瞋らせた眼に現して、
「たわけたことを云わっせい。余人ならば知らぬこと、山手武家侠客の総元締をする重左が、そんな甘い女のけれんに乗るものか、春日新九郎の体が欲しくば、日を改めて氷川下の邸へ自身で推参しろ、その時は生首か骨ぐらいは遺物がわりに返しても