Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
「これ、そちは一体、何が故に大月玄蕃などを討って当お館へ姿を出したのじゃ。いやさ、いつこの兄や千浪殿が、そちに仇を討ってくれと頼んだか! 拙者はな、足こそ不自由な身なれどもまだ自堕落な汝らに代仇討をしてもろうて、喜ぶような者ではないぞ……」
あらん限りの力をこめて言うので、重蔵は息も喘ぎがちのかすれ声――
「――のみならず、前後の弁えなきために、当お館へ大難をおかけ申し上げたるのみか、のめのめとご前にのさばり出して、ようもようもその醜い姿をお上に見せおったものじゃ。……殿様はまた、よもやそちが江戸表へ出て、あのような堕落侍になりおろうとはご存じなく、臣下に過ぎたお情け深いお言葉を何と聞いた! それをまた、側で聞いているこの兄の辛さ、千浪殿の胸の切なさ……」
声涙ともに下って、彼は後を咽び消してしまった。極度に昂ぶった声音も、その時凄愴な語調に落ちてくる。
「……したが、昨日の様子では、切腹して罪を詫びんとするらしい気振りが見えたので、この兄も心の裡で、オオまだ微かな本心が残っていたか、せめてそうでも致してくれたら、すべてをお上に懺悔してご寛大を願おうものと存じていたに、最前からの様子は何じゃ、それでも其方は人らしい皮をかぶっていると思うか」