Japanische Klassiker mit Furigana
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
Lesen Sie 火の扉 (ひのとびら) von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.467 Zeichen · 257 Bildschirme
七
「強味だわ、ほんとに……」
と、すでに彼女はその言葉の裏をよんで、声をくもらせる。
「ワラビ取りなら、わしが案内しましよう。そこいらの山はすぐ取りつくしてしまうで、もつと上の、人のあんまり知らんところがいゝですよ。子供が野ウサギの眠つとるやつをそつと抱いて来たつていう話があるほど、のんびりした山奥だが……」
七
「それ、いゝお話だわ」
と、井出夫人は、明るく言い、そのまゝ立ちあがつて奥へひつこむ。
市ノ瀬牧人は、もう、夫人とその息子とを案内してワラビ狩りに行くものとひとりぎめにきめこみ、あの山この山の春めいたすがた、若草の緑によみがえる小みちのかず/\を、たのしく頭のなかに想いえがいていた。
そこへ、モトムが学校から帰つて来た。
が、彼とはまだなじみが浅いので、ちよつと警戒の色をみせる。
「ほう、もうそんな時間かなあ。まあ、こゝへおいない、モトム君」
と、彼はなれ/\しく声をかける。
「ボク、勉強しなくちや……」
「だから、わしのそばで勉強すればいゝに」
「おじさん、教えてくれる?」
「あゝ、教えてやるとも……。なんだね、読方かね、算数かね」
モトムは、やつと安心したように、カバンをもつて彼の横へすわる。