Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(五) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 325.249 Zeichen · 653 Bildschirme
「鑿と木槌をよこせ」と、いった。
程普が驚いて、
「こらこら、何をするのだ」と、怪しんで訊くと、医者は、患者の瘡口を指さして、
「ごらんなさい。素人が下手な矢の抜き方をしたものだから、矢の根本から折れてしまって、鏃が骨の中に残っているではありませんか。こんなのが一番われわれ外科の苦手で、荒療治をいたすよりほか方法はありません」と、いった。
「ううむ、そうか」
と、ぜひなく唾をのんで見ていると、医者は鑿と槌をもって、かんかんと骨を鑿りはじめた。
「痛い痛いっ。たまらん。やめてくれ」
周瑜は、泣かんばかり、悲鳴を発した。医者は、弟子の男と、程普に向って、
「こう、暴れられては、手術ができません。手脚を抑えていてくれ」
と、その間も、こんこん木槌を振っていた。
荒療治の結果はよかった。苦熱は数日のうちに癒え、周瑜はたちまち病床から出たがった。
「まだまだ、そう軽々しく思ってはいけません。何しろ鏃には毒が塗ってありますからな。なにかに怒って、気を激すと、かならず骨傷と肉のあいだから再び病熱が発しますよ」
医者の注意を守って、程普はかたく周瑜を止めて中軍から出さなかった。