Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
「お欣び下さい。まずこの通り討ち止めてござります」
「そりゃ、誰の刃で?」
「え、誰の刃でとは?」
「ホホホホホホ。お前様が、捨身で足を払った前に、妾の手から飛んでいた物がお分りないようでは、まだまだ真の剣客の域は少し遠うござります」
御方は笑いながら、微かにぴくぴくしている大円房の側へ寄って、死骸の脇腹に突っ立っていた一本の懐剣を引き抜き、血糊を拭ってピタリと自分の帯の鞘へ納めた。そして、
「あ……」
と、呆れ顔の新九郎へ、声を低めて囁いた。
「恋の助太刀……恋の助太刀でござりますぞ。これで妾は、お前様を三度救った命の親、妾を捨てたり、他に女を拵えたりなどなさると、お前さまとて用捨はしませぬ、きっとこの懐剣が肯きますまいぞ……」
「御方様」
間近にくる侍女の声。何気なく振り向いて、
「何じゃ」
「こんがらにせいたかとか申す者が、新九郎様はこちらかと訪ねておいでになりました」
「おお、折よく二人も奉行所からゆるされて来たと見える。果し合いの勝祝いじゃ。新九郎様、眺めのよいむこうの部屋でこんがらやせいたかも寄せて、ゆるりと寛ぐと致しましょうわい」
また今日も、新九郎の一日は、御方の甘い媚と、陶酔の酒に暮れそうである。