Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
その足もとに蹲まって、大地に天蓋を摺りつけて詫びているのは、鼠木綿の見すぼらしい虚無僧で、一人は、片輪と罵られている通り、脚絆の足を不自由そうに曲げ、連れの一人は、顔は見えぬが円肩の優しい物ごし。
さっきから、土足をうけても、唾をかけられても、どこまでも下手に出て、
「ご立腹はさることでござりますが、何せよ、ご覧の通り、取るに足らぬ虚無僧風情、それに、お武家の胸先に突き当ったのも、全く、足の不自由なため、人に押されて蹌けたのでござります」
「どうぞ、この通り、お詫びは幾重にも致しまする程に、おゆるしなされて下さりませ」
若い方の虚無僧も、優しい声音で両手をつく。
「や、此奴」
と、乱暴にも、いきなり前へ進んだ一人の武士が、天蓋のふちをむずと掴んだ。
「こいつ、女でござりますぞ」
「何、女? そりゃ珍しい」
「比丘尼や女順礼は多いが、女の虚無僧は風変りで、酒の酌には一興じゃ」
「やい片輪、貴様の女房か娘か知らぬが、罪の償いにこの女虚無僧をしばらく貸せ」
「さ、来い」
「来なければ偽虚無僧として、寺社奉行の手に引き渡すぞ」
と、何を拒む隙も与えず、若い虚無僧の手を取って、理不尽に引っ立てようとする様子。