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Japanische Klassiker mit Furigana

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けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme

Aozora Bunko

連れの一人は驚いて、

「あ、しばらく」

と、不自由な足を、杖に縋って起こしかけると、一人の武士が、

「邪魔するな」

はッたと睨んで、虚無僧の杖をグイと引いた。と、引いた途端に、杖は鞘のように、スルリと抜けて、虚無僧の手には、冷々たる隠し刀の抜身が残った。

「あッ」

驚いて跳び退こうとしたがもう遅い。

堪忍袋の緒を切って、きっと、唇を噛んだ虚無僧は、飛鳥の如く躍りかかって、その一人をまッ二つに斬り据えた。

「や、この命知らずめ」

たちまち、乱離の白刃に、わッと揚がる動揺み声、不具の虚無僧と女虚無僧は、背中合せに、互の身を庇い合いながら、七、八人の荒くれ武士を向うに廻して、きっと構えをつけ澄ます。

落花紛々、その下にも、今にも散らされそうな二つの命――

「ああひどい目に会った」

「あんな所へ寄り集って盲滅法の飛ばッちりでも食った日にゃ、いい面の皮だ」

ほうほうの態で、大師堂の茶屋へ帰って来たさっきの客は、ちょっとのぞいて来た虚無僧と侍の斬り合いを亭主に話して聞かせたが、その話がまた、輪に輪がかかっていかにも物々しい。

「へえ、じゃ何ですか、対手は山手組の侍八、九人で、こっちは女の虚無僧に足の悪い連れですって、おやおや、それじゃとても助かりっこはないでしょう」