Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 350 912 caractères · 702 écrans
三
将軍家の師範といえば、天下の師。おおまあ、武蔵などとは思うてもけがらわしい。身ぶるいが出ますわいの。……この身は、それを安房どのへ、お諫めに来たわけじゃ。分ったかの、お息子どの」
三
新蔵は信じている。武蔵をである。父や沢庵が将軍の師範へ推薦したことも、もちろんいい事をなされたと欣んでいる。
で――ばばのいいぐさを、虫をこらえて聞いていても、おのずから顔いろが変っていた筈であるが、口ばたに唾をこしらえて喋舌りだすと、お杉は相手の顔いろなどは眼に入らず、
「じゃに依って、安房どのに、お諫めしてお沙汰止みを計るのは、天下の為だと思いまする。そなた様もの、くれぐれ武蔵の巧い口にはのせられぬがようござるぞよ」
と、なお饒舌のとめどがない。
新蔵は、もう聞いているのが、不快になって、うるさいっ、と大喝してやろうと思ったが、それではまた、かえって粘り出すかも知れないと惧れて、
「わかった」
と、不快な唾をのみころして追いたてた。
「話の趣、よく分った。父へもその由、伝えておくであろう」
「くれぐれもの」
と、念を押して、ばばはようやく目的を達したように、藁草履のしりを摺って、ひたひたと門の外へ出て行きかけた。