Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 350 912 caractères · 702 écrans
四
跡取りの又八は家出し、大黒柱ともいうべき彼女は、ここ幾年も帰ったことはなく、親類中でも頼りとする河原の権叔父までが、旅先で落命しているので、郷里にある本位田家にも、その間、いろいろな問題が溜っているには違いないのである。
で、おばばは、なお武蔵にもお通にも依然として他日の報復は期しているが、小次郎が豊前小倉まで下るのをよい道連れと頼んで、途中、大坂表に預けてある権叔父の遺骨を受け取り、郷里の宿題をひと片づけつけて、かたがた、年久しく怠っていた祖先の年忌やら、権叔父忌も一度やって、ふたたび目的の旅へ出直そうと決めたわけであった。
――だが、このばばのことであるから、武蔵に対しては、一時でもただ見遁しては去らなかった。
小野家から小次郎に洩れ、小次郎から彼女の耳へはいった噂によると、武蔵は近く、北条安房や沢庵の推挙によって、柳生、小野の二家に加わって、将軍家師範の一員となるということだった。
それを小次郎から聞かされた時の、ばばの不快そうな顔色といったらなかった。そうなっては将来、手出しのし難いものになるしまた、彼女の信念を訴えても、これを阻むのは将軍家のためであり、そういう人間の出世を覆してやるのは、世道の見せしめであると思った。