Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 350 912 caractères · 702 écrans
大事
一
彼の吹いている尺八には、非詩人の詩のように、無技巧な真情がある。平仄には合っていないが、どういう気もちで吹いているか、その心のほどは十分に汲みとれるのであった。
ではこの老い朽ちたる世捨人の薦僧は、いったいどういうものをその破れ竹から訴えようとしているのかというと、それはただ懺悔の二字に尽きるものであった。序の歌口から吹き終るまで、ほとんど、懺悔して泣いてばかりいるかのような竹の音なのである。
じっと、沢庵は、それを聞いているうちに、この薦僧の通って来た生涯がどんなものであったかが分るような心地がした。偉い人間といっても凡人といっても、人間の内的な生涯などというものはそう変りのあるものではない。偉人と凡物の相違は、その等しい人間的な内容や煩悩を超えて現れた表示のすがたであって、この薦僧と沢庵とでも、一管の竹をとおして、形なく心と心を触れてみれば、いずれも過去は同じように、煩悩に皮をかぶせた人間でしかなかったのである。
「はてな、どこかでお見かけしたようだが……」
その後で沢庵が呟いたのである。すると薦僧も、眼をしばたたいて、
「そう仰せられますなら、わたくしも申しまするが、最前からてまえも何だか、聞いたようなお声に思われてなりませんのです。