Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 350 912 caractères · 702 écrans
二
その一葉を、指に持って、廻しながら、彼女はなお、根気よく待っていた。
愚というか、純というか、まるで少女のような彼女のそうした姿を、その時、誰か御堂のうしろで、げらげら嗤った者があった。
二
「――?」
びっくりして、お通は、御堂の縁から跳びのいた。
めったに、物事を疑ってみることをしない彼女だけに、事の意外に打たれると、驚き方も、人よりはひどく、そして脅えやすかった。
「お通っ。動くでない!」
堂のうしろの笑い声が消えた次の一瞬――同じ場所からこう鋭い――何ともいえない凄味をもった老婆のしゃがれ声がしたのであった。
「……アッ」
お通は、思わず、両手で耳を掩った。
それほど、何事かに恐れたのなら、逃げればよいのに、そうはしないで、立ち竦んだまま雷鳴にでも痺れたように、そそけ立って震えていた。
その時――祠のうしろからは、もう数名の人影が出て来て、御堂の前に立っていた。
眼をふさいでも、耳を抑えても、彼女にはその中の、たった一人が、怖ろしく巨きく見えた。悪夢の中でよく見る髪の毛の白い婆だった。
「万兵衛。ご苦労じゃったのう。礼は後でしますぞよ。そこで――皆の衆よ。