Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 350 912 caractères · 702 écrans
七
と、幸村はひきとめた。
「――嫁とせがれどもが、あちらで今、蕎麦など打って、何やら支度しておるそうな。山家とて、ろくなおかまいもなりませぬが、まだ陽は高いし、学文路へお泊りとすれば御悠りでよい筈。まず、暫時は」
そこへ大助が、
「父上。どうぞお越しを」
「できたのか」
「はい」
「座敷も」
「あちらへ設えておきました」
「そうか。では……」
と、客を促して、幸村は、縁づたいに、先へ立った。
せっかくの好意、佐渡もこころよく後について行ったが、その時ふと、不審な物音を、裏の竹林の彼方に聞いた。
七
その音は、機を織る音かとも思えたが、機よりも大きな音で、調子もちがう。
竹林を前にした裏座敷に、主人と客に供える蕎麦が出ていた。
酒の瓶子も添えてある。
「不出来でございまするが」
大助がいって、箸をすすめる。まだ人馴れない嫁が、
「おひとつ」
と、瓶子を向ける。
「酒は」
と、佐渡は杯を伏せて、
「こちらがよい」
と、蕎麦に向う。
強いてはすすめず、大助も嫁もほどよく退がる。――その間も、竹林の彼方から、機に似た音がしきりに耳につくので、佐渡は、
「あれは何の物音で」
と、訊ねた。