Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 350 912 caractères · 702 écrans
待宵舟
一
待宵舟
一
旗のような、紅い夕雲がひときれ飛んでいる。凪いだ海の底を、蛸の這うのも見えるほど、水も空も、この夕方は澄んでいた。
その飾磨の浦の川尻に、午ごろから小舟をつないで、やがて迫る黄昏に、佗しい炊煙をあげている一艘の世帯がある。
「寒うはないかの。……風が冷とうなって来たが」
七厘の火に、柴を折り燻べながら、お杉ばばは、舟底へいう。
そこの苫の陰には、船頭の妻とも見えぬ嫋かな病人が、つかね髪を木枕にあてて、白い面をなかば、夜具の襟にかくして寝ていた。
「……いいえ」
病人は、微かに頭を振る。
そして、少し身を擡げ、粥を煮る米を洗って七厘へ仕掛けているばばの姿をそこから伏拝むように、
「ばば様、あなたこそ、先頃からお風邪ぎみではございませんか。――もう余り、わたしのことでご心配なさらないで……」
と、いう。
「なんの」
ばばは、振顧って、
「そなたこそ、そのようにいちいち気がねしてたもるな。……のうお通よ。やがて待つ人の船も見えようほどに、粥なと食べ、力をつけて、待ったがよい」
「ありがとう存じまする」
お通は、ふと、涙をうるませ、苫の陰から、沖をながめた。