Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Lisez 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 350 912 caractères · 702 écrans

Aozora Bunko

「……うん」

まだどこか、肌馴れない気がするとみえ、連れになって歩いても当分のうち伊織は何をいわれてもただ、うんとのみしかいわなかった。

だが、それも長いあいだではない。山を降り、村の道が尽きると、やがて岸和田の町へついた。さっき、伊織が山から見た海は、和泉の浦であったのだ。人間の多い町中を歩くうち、伊織は、母娘の連れにも馴れて、

「おばさん、おばさん家は何処だえ」

「堺だよ」

「堺って、この辺」

「いいえ、大坂の近く」

「大坂はどの辺」

「岸和田から、船に乗って帰るんですよ」

「え。船に?」

これは伊織に取って、思いがけない歓びらしかった。その歓びにはしゃいで、問わず語りに彼が喋舌るには――江戸から大和まで来る間、川の渡船に幾たびも乗ったが、海の船にはまだ乗ったことがない。おらの生れた下総には海はあるけれど船には乗ったことがない。――それに乗れるんならほんとに欣しいなあ。と他愛もなくいいつづける。

「伊織や」

と、娘はもう名を覚えて、

「おばさん、おばさんって、呼ぶのは、おかしいから、お母さんのことは、御寮人さまとお呼び。わたしのことは、お嬢さんと呼ぶんですよ。