Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 350 912 caractères · 702 écrans
「あまり、有難くもないだろうが、死者の由縁の者が来たら、言伝てくれ。――逃げ隠れはせぬ、いつでも、御挨拶はうけるとな」
そして、葭簀の外にいる西瓜売りの又八へ、
「参ろう」
と、促して、歩き出した。
本位田又八は、俯向いてばかりいた。近頃彼は、西瓜の荷を担って、江戸城の此処彼処にたくさん働いている石置場の人足や、大工小屋の工匠や、外廓の足場にいる左官などへ、西瓜を売ってあるいていた。
彼も、江戸へ来た当初は、お通に対してだけでも、男らしく、一修行するか、一事業やるか、壮志のあるところを見せていたが、何へかかっても、すぐに意志のへこたれてしまうことと、生活力の弱いことは、この人間の持ち前で、職を換えることも、三度や四度の数ではない。
殊に、お通に逃げられてからの彼は、よけい、薄志弱行の一途を辿るばかりで、わずかに、各所の無法者のゴロ部屋に寝泊りしたり、博奕の立番をして一飯を得たり、また、江戸の祭や遊山の年中行事に、その折々の物売りをしたり――とにかくまだ一ツの定った職業すらつかんでいないのであった。
だが、それが不思議とも思わないほど、小次郎も、彼の性情は前から知っている。