Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Lisez 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 350 912 caractères · 702 écrans

Aozora Bunko

ばばの手もわなわな顫え、彼の手も微かに戦いていた。

「ああ、武蔵に取って、今日はなんたる吉日でしょうか。それ聞いて、今死ぬも、惑いなき心地がしまする。はっきりと、何か真実のものが観て取れた欣び――ばば殿のおことばを信じまする。そして今日の試合には、一層、すがすがしい心で臨めると存じまする」

「では、ゆるして下さるか」

「なんの、左様に仰せられましては、武蔵こそ、遠い以前にさかのぼって、ばば殿の前に幾重にも詫びせねばなりませぬ」

「……欣しや。ああこれで、わが身は心まで軽うなった。じゃが、武蔵どの、もうひとり世にも不愍な者、ぜひにも、其方に救うてもらわねばなりませぬぞい」

ばばは、そういって、武蔵の眼を誘うように、振り向いた。

――と見れば、彼方の松の木陰に、さっきからじっとうずくまったまま、顔も上げずに咲いている露草のような、弱々しい女性の姿があった。

十

――いうまでもない。それはお通であった。お通は、遂に、ここまで来た。遂に来たという姿であった。

手に市女笠を持って。

杖と、病を持って。

なお、燃ゆるばかりのものを抱いていた。その烈しい炎の如きものもしかし、驚くばかり窶れた肉体に抱かれていた。