Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 350 912 caractères · 702 écrans
前身が前身でなかったら、しかるべき主君もとれる人間だった。けれど、彼の血統は余りにどす黒い。彼の血をわけた兄も、辻風典馬といって、伊吹山から野洲川地方へわたって、生涯、血なまぐさい中に跳梁した野盗の頭目であった。
その辻風典馬の死は、もう十年も以前になるが、武蔵がまだ「たけぞう」といっていた頃――ちょうど関ヶ原の乱後――伊吹山の裾野で、武蔵の木剣のために血へどを吐いて終ったものであった。
宍戸梅軒は、自分たちの没落の原因が、時代の推移と考えるよりも、その兄の死が、ケチのつき初めと考えていた。
で、武蔵の名を、彼は、恨みの胸へ、彫りつけていた。
その後。
梅軒と武蔵とは、伊勢路の旅の途中、安濃の山家で計らずも出会った。彼は、武蔵を必殺の罠にかけたつもりで、寝首を狙った。
だが、武蔵は、死地をのがれて、姿を晦ましてしまった。――それ以来、梅軒は、武蔵の姿を、見る時がなかったのである。
――お甲は、彼から幾度となくその話を聞いていた。同時に、自分たちの身の上も彼に洩らした。そうして梅軒との親密を濃くするために、武蔵への怨みを、よけいに強く語った。そんな時、