Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 350 912 caractères · 702 écrans
彼は、若い者が好きだった。とりわけ現今の気風として、有為な青年を家に養うということは、侍として、高尚な美風とされていた。
一朝、事のある場合に、ひとりでもよけいに、家の子輩をひき連れて、君侯の馬前へ出ることは平常のたしなみ好き事になるし――また、その中でも、抜群な男ぶりの者は、主家へ推挙しても一つの奉公ともなるし、自己の勢力扶植にもなる。
自己を、考えるような奉公人では、侍奉公の者として、頼母しくない家臣ではあるが、自己をまったく捨て切っている奉公人などというものは、細川家のような大藩にも、そう幾人もいるものではない。
さればといって、岩間角兵衛が、不忠者かといえば、決して一かどの武士以下の者ではない。ただ当り前以上に出ない譜代の侍だった。平常の時務には、かえって、こういう人間が、人一倍、便利でよく働くものだった。
「戻ったぞ」
伊皿子坂は、ひどく急なので、わが屋敷の門へかかって、彼がこういう時には、いつも少し息を喘っている。
妻子は、国許へおいてあるので、元よりここは、男手と雇い女がいるばかり。――でも、宿直でない夕方には、彼の帰邸をおそしと待って、赤い門から玄関までの笹むらには、打水の露が光っていた。