Classiques japonais avec furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lisez 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 350 912 caractères · 702 écrans
あれの禅は物になろうと、愚堂和尚が申されたことがあるので、それとなく、私も見ておりましたが、そのうち忽然と去ってから幾年もなく――一乗寺下り松の試合に、彼の名を、うわさに伝え聞き、やはり和尚のお眼はたしかなものと、思い合せていましたが」
「てまえはまた、そういう武名とは異なって、江戸在府のころ、下総の法典ヶ原と申す土地で、土民を育成し、荒蕪の地を開墾しておるめずらしい心がけの牢人があると耳にして、会ってみたいと、探してみたところ、もう土地におらぬ。――それが後で聞けば、宮本武蔵という者と聞き、いまだに心に留めているのでおざる」
「何せい、私の知るうちでは、あの漢などが、和尚の申す、真の牢人。いわゆる蒼海の珠だったかもしれませぬ」
「主殿も、そう思われるか」
「愚堂和尚のお噂に、ふと思い起したのですが、どこか心の隅に残るだけのものはある漢でしょう」
「実はその後、手前から主君忠利公に御推挙はしてあるのじゃが、蒼海の珠はなかなか会い難うて」
「武蔵なら、私も、御推挙申してもよいと思いまする」
「――とはいえ、そういう人物となると、仕官の先にも、ただ禄ばかりでなく、自身の目ざす働きばえに、望みを抱いているにちがいない。