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にっき

日記

宮本 百合子

08 一九二二年(大正十一年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页

青空文庫

五月二十一日

五月二十二日

五月二十一日(日曜)曇

Aのおできが一体に地膨れをし、なかなか痛いらしい。神経も絶間なく刺戟されるので疲れ、頭もぼんやりして見える。午後、ドクターモットの話をききに行く。久しぶりでああ云う話をきくと心持に力を与えられたような心持がした。

夜、大阪の『女聖』に、最近出来た詩のようなものを送ってやった。どうしても小説が書けない。たのまれ、思いつきでするのだと思うとどうしても心がとがめ、思いがまとまらず、書けないのだ。

渋谷正隆は、今度の集には入れず、「南路」を入れ、まとめることにする。心にかかって居ると、新しいものが出来ない。

A夜早くやすむ。

自分は風呂に入り、床についたが、頭が、紅茶のせいでさえ、眠れず。いろいろ仕事のことを思う。

五月二十二日(月曜)曇

陰気な、陰気な、光彩のない天気。斯様な自然を、一年の二分の一はながめて暮す日本人に、霊魂の弾みと云うようなもののないのは無理ないことであると思う。

北海道には、斯様那天気が多くあっただろうか。青い輝いた空、ちらちらする緑葉に包まれて暮したい。輝き、明るさ、が、どれ程人の心の歓、活力、希望と一致するか、夜の灯火では与えられない健康な自然の喜悦が、我々の心に迫って来るのだ。