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にっき

日記

宮本 百合子

08 一九二二年(大正十一年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页

青空文庫

十一月二十一日

十一月二十二日

あいにく母上留守なり。四時頃かえる。A、今夜中にスーフィーを書きあげるため、一生懸命、就寝、自分は一時半。Aは四時頃のよし。

十一月二十二日(水曜)晴

目下アインスタイン、ジョルダン等、世界的学者が来て居る。写真で見るアインスタインは実に豊かに暖かな心情の所有者と見える。自分は、ドイツ語もわからず、相対性原理を充分理解する丈の予備知識すら持たないので遠慮し、公開のレクチュアもききに行かない。

何だか、いそがしい今日の流行にのってさわがずとも、真理は十年の後にもかわるまいと云う心持。さわいで不完全に理解するのは惜しい心持がある。

『朝日新聞』に書いて居られる石原純博士の同真理の説明は平易によく書いてある。単純にして明瞭。此が大事のことなり。

午後、商大の高瀬氏来訪、話し、経済のような社会科学が、学として完成するにはどれ丈哲学的要素を重大とするか、哲学者として相当の権威を持たなければ、経済学としても価値ある体系は作れないと話され、考えるところあり。文学者は、もっとも広大な知識の所有者である必要がある。

十一月二十三日(木曜)晴

文を書くとき、音楽の如く、と云うことは大切であると思った。