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にっき

日記

宮本 百合子

08 一九二二年(大正十一年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页

青空文庫

三月十三日

が、一人でも、一緒に人が居ると思うと自分の心持のゆとりは非常に異う。ひとりでは夜などとても家には居られまい。

A、夜、Y、M、C、Aの、head が来朝して話をするのをきくと云って出かける。『女性日本人』より原稿料。よさのさんに送ってあげよう。口数を多くきくと、頭、がらん堂なり。

ゲーテが種々な作を、ゆっくり、長くかかり、書いたのを見、何と云う日本の、少くとも現代の所謂文学者は、せかせか喘いで居ることかと思う。皆、貧乏からだ。皆、目先の派手に気を引かれる国民だからだ。

ゲーテが、自分が高処にのぼったり、やかましい音、いやなものを見て感じる、おく病やだらしなさを、ためるために、強制的練習法をとった。これを、我々近代人は、何と見てよいのだろう。

三月十三日(月曜)曇

柳原※(「火+華」、第3水準1-87-62)子氏が、剃髪して京都の寺に行くとか云う記事が出て居る。あの、誇はあっても独立の出来ない女性を中心にして、無数のかげがうごめいて居るような心持がする。宮崎氏は、どうしたのだろう。実に矛盾と弱力と、妙な日本道徳の根がこびりついて居るものと思う。※(「火+華」