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にっき
日記
宮本 百合子
08 一九二二年(大正十一年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页
六月十六日
点に対する感謝とハムブルな心持とがかけて居たのだ。公平な態度と云うのは、両面を見、生かせる価値を生かして行くことにあるだろう。
二、自分は野上さんの処へ行ったら、ほんとうの意味で芸術談でもしたく思う。あの人は、いいお喋り(下等の意味でなく)の相手と云う方であること。
六月十六日(金)梅雨になる。
ひどくつかれ、何もする気なし。朝まぼしくAの枕を、自分の顔の半面に当るようにして眠って居たら、妙な夢を見た。
学校、教室(五年頃の)。甫守。自分は、ひどく華やかに赤いスウェーターをパンとき、何か英詩をよまされる。一寸見た時は、バイロンの Roll on と云う、海の詩だと思ったのに、よみ始めると、ちっとも意味のない――少くとも自分には解らない語が、ローマ字で綴ってある。いくらすらすらよもうと思ってもよめず、汗をかいた。
一昨夜だか、国男さんが、首を縊った夢と共に、強い印象にのこって居る。どうかして居ると、苦しそうな声で「ういさま、おかあさま!」と呼ぶ声がする。驚いて行って見ると、此処の家の風呂場で、風呂桶に裸体で立って居る彼が、細い強そうな紐で、首をつって居る。