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にっき

日記

宮本 百合子

08 一九二二年(大正十一年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页

青空文庫

一月九日

自分は、彼が内心どんな変化を起したのかは分らないが、母上がプレエンにそれをとり、和解して下さることを希望する。時が経ち、その時の意地がなくなると、あんなに不自然なのはいやになるのだろう。うれしく思う。

ゲームをして思うこと。相手がどうしても勝ってやれと熱中し、うの目たかの目になると、一緒に息をつめる気がなく、どうにでもなれ、勝ったらいいと云う気になる。又、此方で彼方の利益のために注意してやるのに、此方にそれをかえさない、どんどんやる。あの帰航の船長のビリヤードを思い出す。人の性格、きたなさ、と意志の頑固さ。

一月九日(月曜)

朝早く、Aと一緒に起き、図書館へ行く。思うように方言が見つからず、長いことさがしてやっとあり、うれしくうつして居ると、使丁が入って来て、急用だから、かえるようにと云う。暫く自分は信じられない気がし、やがて不安になって早速しまう。入口に来ると俥をよこすと云ったと云う林町へ廻るように。誰が悪いのか、母か国男か、たまらない心持になり、まち遠しくて行くと、トランクの中箱が一つどうとか斯うとか云うのである。母が向島へ行くのをやめてさがし木の下にやっとたのんで、と云われる。