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にっき
日記
宮本 百合子
08 一九二二年(大正十一年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页
七月三日
子供のように、私の顔を見、行きたい処へ行ってしまうと、今度は帰りたい! まつをつけて、午前中に御送りする。夕刻、ロシアキキン救済の荒木と云う女の人が来、発起人となって呉れ、外に人がなくて困るから、と云って来る。ことわる。然し、どうぞと云う。賛助すると云った以上、少しの迷惑は仕方ないと思って、若し外にないならと受けることに話した。が、あとからAが、是非断った方がよいと云う。勿論仕事の質、その純粋さから、私がああ云うことに先棒になるのはよろしくない。一旦、外に人がないと云う言葉に侠気を出した自分も、何と云っても単純な世間知らずだな、と思い、他の人々をメンションして、断の速達を出した。
七月三日(月曜)雨
今日は、東伏見宮の御葬儀。A休み。一日うちに居る。自分は、「火のついた踵」をすっかり改めて、中公に送り、家のことを書かなければならないと思って居たが、足がはれ、心持わるく何も出来ず。
明治三十年の『太陽』の増刊、紅葉の「二人女房」、「当世書生気質」、「浮雲」等をよみ、驚く。たった二十年位の間に文学の進歩し、自由になったことと云ったら、昔の人は、驚くほかなかろう。