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にっき
日記
宮本 百合子
08 一九二二年(大正十一年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页
三月三日
毎日の生活を緊張させ、延長的にいつも人類の本源と合致させて暮すのは、生活の最低標準を其処まで引あげるのは容易でない。
雪がとけ、草が芽をもやすように、自分の頭には活気が漲り出した。燃えつきるものではなく、底から何かを生産させる力だ。
A、啓明会、金が出るらしい。ペルシア行の前提位に考えて居ると云う話、いつか行けるのだろう、Aのためによろこばしい。自分も行きたい。彼一人より収穫があろう。又一面、世間のことを念頭におけば、A一人でやった方が或はよいかもしれぬ。只、一人行き危険があり、死ぬにしても自分の見ない処で死なれるのかと思うとたまらない心持がする。若し行ったら、きっと神仏の加護を祈るだろう。
読むばかりではたまったものがくさる。
三月三日(金曜)晴 暖
岩波からAの第一回の校正来る。
おひなさまの日、林町では、さぞきれいにかざったことだろう。こちらのうちでは、おひなも何もなし。
朝、昨日から書き始めたエッセイを少しつづける。
頭余りよくなし、サムガアはわるい。
種々なものをよみ、考える結果が次第に分類され、必要なシステムを持つようになって来た。十年先の書きたいことのために、今が密接につながって居ることを知って来たのだ。