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にっき

日記

宮本 百合子

08 一九二二年(大正十一年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页

青空文庫

一月十三日

光きみの性格、あの時代の社会が面白い。じょ景などになかなかいいところがあり、いかにもあれについての絵巻がかけたとうなずかれる。きれいな時代、一方、葬式などのこと、又人の行方などのまるで無法律であったらしいのも興がある。

同じ女性でも紫式部時代にはあれを書けたろうが、我々の時代には、もうあんなものはさかさになっても書けない。全人格的に異った内容をもって居るのに、しかもなおその美がまざまざと目に来る――美だから、それが生き通じるのではあるまいか、斯う思って見ると、古文学の価値が、自分にも味われる。目下のつまらない雑誌小説より、少くとも、来月一杯という期限はなく、自身たのしみ味い乍ら、書いたものだもの。

一月十三日(金曜)曇

天気予報には、雨か雪とある。昼近くまだ何も降り出さない空には、かすかに奥から日の色のうつる、白雲と淡い青空とのしまがある。風がかすかによごれたような庭木の葉末を渡る。

今日『時事』に出て居た野上さんの評は言葉はとにかく、心は同感される。

早く春になり、朝起きるにもひややかな衣服の肌ざわりのすがすがしい頃となったらどんなによかろう。頭へさぞ血が廻ると思われる。