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にっき

日記

宮本 百合子

08 一九二二年(大正十一年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页

青空文庫

二月十八日

二月十九日

二月十八日(土曜)晴

◎青山へ来て目につくことは一般に人の服装が金目をかけて居ると云うことである。

午後、石勝の隣の家具屋によいサイドボールドが七十円であると云う。行って見る。七十円のものかと思う。けれどもなくてはならないので買い、茶の間に据える。三畳との境がないので落付かず、いかにも日本の茶の間という感、よろしからず。

夜、おなか変、行ったら色のついたものを見、まるで、からだ中うれしさでとけ燃えるような心持がした。押えようとしても、ひとりでに声が出、笑、まっすぐに人の顔が見られない程。

けれども、今朝起きて見ると、又、何ともない。どうしたのか、何となく気分が落付かず、仕事が出来ない。女のこう云う心持は男には永劫分らないことだろう。

大抵の女は、生活に無意識で此那心持を味わわないか、又此心持を特別な状況と意識しない程度に日常の生活が、それに捕われ、それを中心にして居るのかもしれない。

二月十九日(日曜)晴◎

ぽかぽかと暖まり春らしい日になって来た。伊吹山秋子さんが、上海に居る人と結婚すると云うので、午後からぜひ来て呉れと云って来てあるので、午前中に林町へ行き、おひるをすませ、二時過から出かける。