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にっき
日記
宮本 百合子
08 一九二二年(大正十一年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页
八月十日
八月十一日
八月十二日
八月十三日
今わかる。
八月十日(木曜)
A思いがけずに十時過にかえる。日にやけて。顔を見ると苦しく、笑うにも笑われず、泣くにも泣けない心持がした。
午後西村氏来訪。夕飯まで一緒にし、あと八畳でスタンドだけで話して居るうちに、問題は二人の間のことになった。あまり緊張し苦しいので、二人は(NとA)散歩してかえると云って出かける。A十一時頃帰宅。
八月十一日(金曜)
午前中まつケイオーに行き、午後夕飯過林町へ行く。
八月十二日(土曜)
順天堂行。唇に妙なおでき出来、不快。
八月十三日(日曜)
夜、食堂に坐って居ると、鳴く虫の音がいかにも秋めいて来た。夜はしずかな涼風も流れる。午後、N氏、手紙を見たと云って来られる。彼は、自分の不徹底を見ぬいて居る。手紙を見、二度三度、斯う云うことを繰かえして居るうちに年を取ってしまう人かな、と思ったと云う言葉には思わず涙を落した。彼の従ともなり切れず、又よろしくない境遇と知ってかえられない自分は、何と云う弱者か、弱者か! 苦しみ、わが心を圧し切る。
若し再び生きられるものなら、自分は悦んで死ぬだろう。新しい芽生のような人生を新たに踏み出すだろう。