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にっき

日記

宮本 百合子

08 一九二二年(大正十一年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页

青空文庫

十一月十四日

十一月十五日

大橋房子氏から送られた「愛の純一性」、あの人の殉情家的な傾向が、流達な理智の文の間にも見える。

十一月十四日(火曜)晴

まつ昨夜、写真をとりに行くと云って出てゆき、夜中かえらず。困ったあわれなものなり。すっかり気が浮立ち、わきまえがない。A、学校の遠足を休み、家に居、シシティシズムについて調べものをして居る。

昼頃から、柳氏にたのまれたことにつき書き出す。興がのり、よいエッセーが出来そうなり。今までのと違い、大体骨組を小説のように書きつけそれに思想をつけつつ運んでゆくことを見出す。何でもないことだが、思索の切れないため、或まとまりを持つため、大変よろしい。エッセーを書くに新たな面白味を感ず。

まつを午後から、林町へやり、喪服をかりて来て貰う。

十一月十五日(水曜)晴

朝早く目ざめ、早めに青山斎場へ行く。関さんの母上の葬儀である。

予定の十時になっても葬列は見えず、父上、国男、高村光太郎氏、瀬沼氏、等に会う。自分の心持ではもっと来べきと思われる人が見えないのにおどろいた。参会者も、知識階級のどういう程度を加えて居るかと、淋しい気のする程度、読経後、芳賀矢一氏が、声涙ともに下ると云う有様で、貧しさのうちに、献身的一生を送った故人の追悼の辞をのべられる。