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にっき
日記
宮本 百合子
08 一九二二年(大正十一年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页
二月六日
二月七日
それでも朝から午後までに三十人も来たと云うので、A心配し、又夕方出かける。樹の多いのだけがとりえで、自分には何だか陰気で変に思った。
二月六日(月曜)晴
今朝は又、手洗に氷が張った。少しさむい。朝、「火のついた踵」に関して、イブセンの A doll's House をよみ、うまいのに驚いた。教えられることが多い。性格の描写のしかた。に関して、言葉のつかいかた、内容より。
夕、寺田さんが葺屋町の浪華家と云う家へ呼んで呉れられ同席に与謝野夫妻も見えられた。寺田氏はなかなかの達弁家、交際の範囲も広いらしく、話題にとみ、縦横に興味をひきつけられる。イタリーのあのタランテラ踊のこと、言葉――ナポリ語のこと、下位春吉君のこと、オピアム・イーターのこと、あんなに喋ったら、あとでぼーっとなりはしないかと思う位、晶子夫人が笑うとき、鼻柱眉の間に強く横しわをつけ、眉をつらせ、一種独特の表情やや肉感的――をされる。
二月七日(火曜)晴
朝食事をすませてから直ぐ林町に行く。そして、大工のことや種々話し、本や箱のしまつをしてもう帰ろうとすると、Aから電話で、借家証をよこすから印をもらえと云う。