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にっき
日記
宮本 百合子
08 一九二二年(大正十一年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页
二月十五日
此度の我々の家などに苦情を云えたものではない。あの家に、ああ云う恒方さん、やす子さんが二十年も生活して来たのか。自分が、家、生活などと云うものについてまだまだ贅沢な標準を持って居るのに驚いた。
暫く話しをし、かえる。かえりの坂が急ですっかり息が切れ、はっはっと押し出すように苦しい息をつく。
職人今日で皆相すみ、やっとさっぱりする。が仕事のやりぶりを見、やっぱり叩き大工は一生叩き大工で終るだけの心ほか持ち合わせないことを痛感した。自分の仕事を、出来る丈よく、完全にやり終せようなどと云う気はない。只間に合わせ、センスなどと云うものは皆無なのだ。
三宅さんの話の中から思ったこと。子供、又は、良人を、自分の生活、生命の全部と思って居る人は、それの生死、愛憎と云うことが如何ほどか大事だろう。自分が書くことと読むこととを失ったら何によって生きて行くかと思うような、頼りなさ、興味の喪失、を感じるのだろう。
そう云う人が、良人に死に別れ、子に別れる心持は実に日も暗くなるほどのことであろう。
二月十五日(水曜)雨
岡本かの子さんの処へ行く約束をして居るのに、目をさますと雨ふりで困った。