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にっき
日記
宮本 百合子
08 一九二二年(大正十一年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页
四月二十三日
二十四歳まで修業の最中であり乍ら、彼の小成に安んずる感化をうけ、一緒におさまってよいものか? 種々の反省。親から自由になると思って良人の許に走せた誤謬。その良人からも自由になって始めて自分は一人の人間として独立し得るのではないか。
Aがかたまって居ること、嫉妬心の強いこと、古臭い日本の考えを持って居ること。自分が彼に支配されすぎる危険、皆がこれに心付いて居るのを知り慄然とした。自分の裡に在る愛さずには居られない要求、仮令Aと別れても、これがどうなるか、性格の問題になると思う。来年若し四月に父上が英国に行かれれば、自分も行くか。只それから三四年、国男が来るまでどうするかが疑問。Aのそばに五年此からこびりつき、中流の狭い古い生活にしばられて三十になることを思っては、ぞっとする。自分の、愛欲で曇った理想は、又その光りを見せて来た。どうしたら、もっともよく――出来る丈少なく彼を痛めて――此状態を変え得るか。
「ベートーフェンの一生」
目下あまり無理をせず平均月百円はとれる。これで生活は出来ないものか。
四月二十三日(日曜)曇
A、ひまがあると、庭の掃除をし、草を手入れし、水をまき、こまこまと体を動かして居る。