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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

いずれにせよ、来年は小説の年です。

「朝の風」の「アパート」のこと、あの上に、人が自由に住む云々という文章があったと思います。けれども読者がそこにあるものを感じないとすれば、やはり不十分であることは明かですが。

二十六日からあと、きょうがはじめての手紙よ。『都』に文芸時評二十枚かいたのち、岩波の『教育』へ二十枚、「紙の小旗」二十一枚、あとこまこましたもの三十枚ほど。間では多賀ちゃんのおつき合いをいたしましたし。

多賀ちゃん七日の夜九時十分でかえりました。荷物が迚もどっさりでね、超過二円四十銭とかとられたそうです。おまけに一つの方の量が多すぎて、駅でつめかえをしたりして、夕飯をたべて一休みして時計を見たらもう八時、ホラ大変というわけで大あわてして出かけたら、いいあんばいに学習院の角の駐車場に車がいて、それをつかまえて四十分前に東京駅へつきました。まだ車輛が入ってもいまいと思ったら、九分どおりの人がのっていて、びっくりしました。寿江子と咲枝見送りに来ていて、林町へその前々晩送別会によばれ、大よそゆきの草履を貰い、寿江子にも何か貰い、てっちゃん、佐藤さん、稲ちゃん其々からお餞別貰って、多賀ちゃん大ほくでした。