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にっき

日記

宮本 百合子

08 一九二二年(大正十一年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页

青空文庫

一月十四日

今まで冬がよく春や夏がいやだったのにあべこべとなる。面白い。生活が、生物的に自然になった故だろうか。

Aはっきりせず。困ったもの。生理的にああ絶えず苦情があっては、のどかに仕事などには没頭出来まいと案じられる。

「午市」、十枚になる。うれし。

次の、「火のついた踵」、想次第にまとまる。「火のついた踵」の次には何……降誕祭にしようか

夜になって風がひどく吹き、風呂場の屋根はまるで、大きな金の熊手でかきさらうような音を立る、どこかの枝がさわるのだろう。「源氏ものがたり」面白い。

一月十四日(土曜)曇

昨日朱葉会インビテーション。然し今日午後からでも二人で行って見ようと思ったが、何だか時雨ぐれたいやな天気なので、Aも気がなく自分もやめ。

「午市」少々

しぐれた昼の空にかりの声がある。(源氏のえい響にや)

A、午後から、死んだじゅうしまつの雌を買いに行き、ついでに文鳥を一つがい買って来た。

実に、他のとりの中に入れるとめだって派手だ。漱石氏の文鳥と此文鳥とは体の色が異うように思われる。

嘴が、絵の具をつけたように紅く、体が柔いうすねずみで、頬が真白く黒い頭をして、如何にも桃の咲く時分を思わせる。