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にっき

日記

宮本 百合子

08 一九二二年(大正十一年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页

青空文庫

六月十四日

六月十五日

嫉妬と云うことが、無制限であると、ついには、理由なく嫉妬されると云う点で、同情が一致してしまう。或一つの考、いやなものなり。実に男は、独善的であり、専制であると思う。自分の心を反省しようとはしないのだ。

六月十四日(水曜)晴

昨夜、夜なかまで起きて居、今朝十時頃起きる。今日一日Aと顔を合わせたくなし。

「火のついた踵」。大抵しまいに近づく。

あまり暑く、とても八畳に居られないので、玄関へ、円卓子を出し、書いて居ると思いがけなくもうちゃまがいらしった。うれしかった。全く思いがけなかったから。むぎ湯や果物をあがり四時頃(三時から)まで居ておかえりになる。

Aは、あいにく会議があったと云って、六時近くにかえって来る。

六月十五日(木曜)晴 八十二三度 野上さんの処

朝、「火のついた踵」の最後の一句。

林町でおひるをたべ、午後野上さんの処に行く積りで出かけて見ると、父上は、おやすみだと云って家にいらっしゃる。賑やかにおひるをすませ、野上さんの処へ行く。四時過まで居、いろいろ考えさせられることがあった。最も大きなものは、

一、自分のあの華々しかった出立に対し、自分が、今までやや不正当に対して居たと云う感――、それの与える不純な、わるい点だけを強調して考え一方、地歩の与えられたことや努力の買われる境遇が開かれて居ると云う