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にっき

日記

宮本 百合子

08 一九二二年(大正十一年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页

青空文庫

六月二十三日

六月二十四日

「星座」にある甘たるさ、一種のペダン、小ぜわしさがない。大作はああでなければなるまい。よむものに、大きさを感じさせ、先ず、頭を、ずうっと開かせるような直感。よいものを書きたし。実際、一度去ったらもう戻らない言葉よ、我心を表して呉れ、と云いたくなる。

図書館で、自分のような人間はしんみり勉強が出来ない。おかあさまから貰った金で、かり出しにしよう。此からも入用だから。

芸術で、全く新たな人間なり生活なりを、自分よりそとの彼方に、築きあげると云う感が、非常にはっきり分った。時とともに来た悟りと云うべきものが。彫刻のように、明かに、作品と自己とは相対的で、自分の心と腕とで、表現して行くのだ、と云う心持、言葉で云えば、分り切った理屈だが、実感として、自分に価値ある新たな発見だ。

六月二十三日(金曜)

「火のついた踵」、すっかりなおす。おしまいの分、ことによくなり、自分の始め頭に来た通りのものとなった。

大、毎に書く約束。

六月二十四日(土曜)◎

『大毎』のには、「猿」を書こうと思い、朝から上野へ行く。近頃行きつけたら、早、五重塔のわきを、ゆっくり、ゆっくり歩いて行く心持を、楽しむ余裕が出来た。