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にっき

日記

宮本 百合子

08 一九二二年(大正十一年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页

青空文庫

一月十六日

迫害とか、圧迫とか、種々な不幸などと云うものは、結局に於て、その人の中に、何が永遠的なものであるかを考えさせ、軽重を取捨させ、貫くべきものの潜勢力を一層強固ならしめるものであると思わずには居られない。静に考えて見た場合、自分などは確かになおうきことのつもれかしと云うだけの勇気を要すると思う。実際、人間は再び立てないような苦痛に会うものだろうか、自分には分らない。或は疑うと云ってよいかもしれない。

勿論、物質的にはあると思う。景気、不景気などと云うものに煽られればそうだけれども、人間の精神が、再び生き生きとした力を恢復出来ないような苦痛があるだろうか

静かな頭で考えて見て、斯う思われることも、女性特有? のヒステリーでくらまされ、世の中と云うものが狭く、小さく苦の世界になるのは情けないことだと思う。源氏の中の女の生活などを見ると、全く、此の情緒で生活して居るのではあるまいかと思う。情操とまでは白熱しない場合が女性に多い。故に、チラチラと動き易く、小さく、円周が小さい。

男心と秋の空、と云うが、それは、女の主観的詠歎ではないか? 所謂くよくよ。

一月十六日(月曜)曇