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にっき

日記

宮本 百合子

08 一九二二年(大正十一年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页

青空文庫

七月五日

七月六日

夕刻小林さん、わざわざ別府を持って来て呉れる。

七月五日(水曜)曇

朝、中公に送る。

里見※(「弓+享」、第3水準1-84-22)氏の「乙上主義」をよんで感あり。種々な方面で人間はああなり勝なものだ。

七月六日(木曜)晴

あつし、あつし、図書館へ行こうとして家を出、林町へ行ってしまった。音楽がききたくて。

母、二三日前、脳貧血で卒倒しかけた由、衰えつかれたような顔をして居られた。いろいろの話。自分が、岡目八目と云うものの真価を、あまり考えなさすぎたことをつくづく思う。つまり、それを超える価値高いものまで、自惚で、自分の眼に間違いはないと思ったこと。勿論、その心に対する先方の真価が、あればよい。が、なかったとき、又ないのをそろそろ自分で知り出すとき、自分の有頂天になって居たことが反省される。勿論、一人の人間として、或者の価値がないことはわるいが、あると思い込んだ自分も、少くともその時は、あまり広い心と、深い眼を持って居たとも云えないことになる。純粋さと、人よしと、ひとりよがりとの大きな差、又その混同し易いところ。最上のものとつとめて中の下になる人生。