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にっき

日記

宮本 百合子

08 一九二二年(大正十一年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页

青空文庫

七月十五日

七月十六日

異性とともにある心の弾み。

自分は欧州旅行のことも考える。賑やかに、所謂楽しい旅行は男づれでなければ出来まいが、静かな心で芸術や生活を味って来ようなら、女の、気心の合った人とでなければ駄目ではないだろうか。

七月十五日(土曜)晴

朝起ると、足の工合、まるで異常、筋が一つつれたように感じる。大阪でペストがあるのを知って居るのが気が気でなく、すぐ思い立って順天堂に行く。

林町に半日居、繃帯で歩けないから、Aに来て呉れないかときいたら来ないと云う。俥でかえる。

七月十六日(日曜)晴

此頃、自分の心には、種々の苦悶がある。自分の日常生活について。

一、近頃の自分の生活は、半ば放棄、半ばあきらめの生活ではないか。真の意味に於ける結婚生活は此那ものであろうか。

二、自分の生活批判の標準が――自己に対する判断が、実に不足であること。つまり、厳格に、人対人の真価の問題にのみ目を止め、理想から、容赦せず彼と自分とを批判するか、又、世間並に、どうせ世の中は思うようになるものではない。悪い方から見ればよい、と納って行くか、どっちと云うことが、はっきり、明瞭でないのだ。故に反省は発作のように起り、苦しむ。