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にっき
日記
宮本 百合子
08 一九二二年(大正十一年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页
十月三十一日
十一月一日
低級になったようで苦しく悲しい気がした。酒をのめる人の顔は、のんだあとどんな風になるのだろう。
十月三十一日(火曜)晴
風少しあり。晴れた空に柳の、少し茶がかった枝が、優寂な趣を見せて居る。枝幹が茶がかり残った緑葉が、スッスッと斜に緑青でもかすったように見える。
『思想』の「竹取物語の研究」を非常に面白くよみ、能の集注が、brain のものとして作歌作曲の場を与えられたのより、謡いての発声法に集注がありそれが独自な魅力となって居る、と云うのもなるほどとうなずく。自分には謡曲に伴うクラシカルな圧の感じ、そこから出て来る落付、幽寂の感はたしかに知り愛して居たのだが何からそれが来るか、明にしては居なかったのだ。津田氏の日本文学の時代別研究も、若し、和辻氏の中に抜萃されて居る調子で全般を貫いて居るなら、むしろ読まないに如かず、著者も亦書かないに如かずであったろう。却って文学の愛らしさ美しさが覆いかくされる。
十一月一日(水曜)雨
風とときどきの雨。午前中家に居、午後大同に出かける。三時すぎより第一相互の方にゆき河崎先生石本氏に会いいろいろ話し、角まで自動車で送らる。