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にっき

日記

宮本 百合子

08 一九二二年(大正十一年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页

青空文庫

十一月二日

十一月三日

電車より楽なり。

夜、ゴドウスキーのピアノをきき、音響に胸をとどろかされた。あのサンサーンの第五伴奏よりのトッカタのコードの音! ショパンのソナタ35の葬送行進曲を、全部ピアノで弾いた美しさ。

まるで自分達で弾くのとは出からして違う。久しぶりで久野先生に会い、相変らず若々しいのにおどろくとともに、せかせかしいのにも気の毒な感に打れる。小倉末子氏、大橋、三島、久米、倉知、瀧田その他の人々に会う。

始めての会は斯う云う聴衆ゆえ気分があつまり快い雰囲気をつくるがやや社交的傾向あり。

十一月二日(木曜)晴

A、まつが自分にあまり親切でないと云う困ったものなり。むずかしい。細心と細心とがかち合うのか。Aが神経質なのか。苦情にかぎりはない。

朝から机に向い、ダーヴィッシのことを書くために考えて居るうち、ペルシア神話のうち、シャナーマのソーラーブ譚をよみ美にうたれ、書く気になる。楽し。

十一月三日(金曜)晴

元の天長節、ツーさんが三四日前に帰京して居るので、およろこびのティーパーティーをかね林町へ行き、会う。ちっとも変らず顔を見た時よろこびが迸しった。おみやさん、基ちゃん、工藤等来り会す。