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にっき
日記
宮本 百合子
08 一九二二年(大正十一年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页
十一月十七日
十一月十八日
書きつつ自から コンストラクションの確実さと云うことについて得たことあり。即興的に筆を走らせて行っては心づかなかったことだ。一つの思想について一区切りずつちゃんと配置されると云うこと。筆の勢で並べられるのではなく、書かれようとする内容の種類順序に従って、aの下にはaに属すべきものがBの下にまぎれ込まず入るべきと云うこと。小説の上にもよいことを感じたと思う。実に、微に入り細を穿ちつつ、滔々として進むと云う偉大さが実にないと思う。つまり心の偉大さが足りないのなり。あわれ。あわれ。
十一月十七日(金曜)晴
午前中、昨夜のつづき。林町から電話がかかり、行く。きみ来られない由。はつをきくことにする。
父上山形におたち。かえりにはオートバイで送って来て貰う。
十一月十八日(土曜)晴 ○
きのう林町へ行く道からハネカーのショパンの伝をよみ始める。面白し。ショパンを、月光に打れた蒼白い青年として常識して居ることの、或非実際を知る。
『女性日本人』に書く原稿はあまり大事をとりすぎる為かまとまらず。
夜、散々加筆した原稿をながめ涙の出そうな気になった。わが心、わが心。
幾分の生理的影響によって思わしく行かないのだろうと思い、やめ、ショパンをよむ。