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にっき
日記
宮本 百合子
08 一九二二年(大正十一年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,285 字 · 204 页
十一月二十四日
十一月二十五日
――仕事をするのに心がかりがあってはいやな為。
ト翁の、「ハジ・ムラート」をよみ得るところあり。一昨日あたりから、自分の心にはある決定に似た運動がおこり始めた。自分の芸術に関し。よき芸術家として自分はどう云う方面に自己の道を拓いて行くべきか、と云うこと。自己の訓練、作品をまとめるときの心得、手に入れることなどではなく、もう一歩、それらのあらゆるものをどの方面に集注するかと云う点。十八九のとき持って居たような漠然さではなく、自分はどうしてもリリカルな作者ではないことに心づいて来た。又生活も何も野上さんのように、文学のうちにまとめることも出来ない。もっと動き、もっと移り、而して、実に永劫な連鎖を持つ社会の変遷と云うようなものがひどく自分の心を牽くのだ。或時代と云うようなものを、ずっと此方から観察、批評、評価し、これを、新しい光の下に再生させて行くこと。学問の足らなさを思い、下らなく世間的にならせられたのが口惜し。
十一月二十五日(土曜)曇
勉強して居ると午後神戸に居、今『女性改造』に働いて居られる小見山氏来訪、自分にとりつがれお会いしたらAにペルシアの音楽をききにきたとの由、Aに会わせ、のちゆっくり二人で話す。